Lost Words
    神は始め、天地を創造された。「光あれ。」――こうして、光があった。
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  第五章のあらすじ 
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■ ティナ・カルナウス+α編

 街を襲う魔物たちの攻撃も、一段落つき、ティナはしかし、人里には本来近寄らない魔族の奇妙な行動に、石版が近くにあるのではないかということを考える。
 その後、アベルを見つけてきたカイオス・レリュードとの再開を果たし、ティナたちは一旦宿に落ち着く。
 魔法のことには全く詳しくないアベルに、『属性』に選ばれた『属性継承者』や『属性魔法』のことを解くティナたち。
 一種の特権である『属性魔法』を一般の人々にも使えるように理論を組み立てた魔法学者、『ダグラス・セントア・ブルグレア』に話が及んだとき、ティナたちは逆にアベルから、彼についての話を聞く。
 ダグラス・セントア・ブルグレアは、希代の魔法学者であると同時に、アクアヴェイルの名宰相だった。その息子にも受け継がれた才能は、当時の『シルヴェア国』の時の国王ドゥレヴァをも感じ入させ、息子は同国の皇子の代わりにミルガウスに人質に送られるほどだった。
 しかし、シルヴェアの手落ちによる不慮の事故で、息子は死亡。ダグラスは遁走した。
 その息子の名は、『カイオス・レリュード』。
 しばし唖然とするティナたちに、アベルは、現在ミルガウス国左大臣である『彼』は、数年前に転がり込んでき、出自や名を明かさなかったため、『カイオス・レリュード』の名を頂いたと語った。
 その後、鏡の神殿にいたる道についての話をアベルに聞いたティナは、ある疑念を抱くが、それを振り払うためにも自らカイオス・レリュードへの自室に赴く。

 一方、ミルガウスを統べる左大臣『カイオス・レリュード』は、『赫い目をした』男との再開と、その取引を反芻していた。
 『ミルガウスを襲いにいく代わりに、自分の近くにある『二つ』の闇の石版を、男のところにもたらす…――』
 その代わり聞き出した男の思惑は、かつて『ダグラス・セントア・ブルグレア』と呼ばれた希代の魔法学者の、狂気の願いを叶えることだった。

 そして、カイオスに疑念をいだきながら、彼と相対したティナは、しかし不意をつかれ、彼によって気絶させられてしまう。
 ティナから二つの石版を探り出したカイオスは、夜の町へと駆け出していった。
 しばらくして、目覚めたティナ。消えたカイオスを追って、アレントゥム自由市の大戦遺跡『光と闇の陵墓』まで辿りついた彼女は、カイオスが、彼とそっくりの男に石版を渡しているのを目撃する。
 石版を受け取った後、虚空に消えた男。それは、天使や魔族しか扱えない『空間魔法』だった。
 混乱するティナに、残った今一人――カイオス・レリュードは語る。
 昔、類まれなき賢臣として名を馳せた、『ダグラス・セントア・ブルグレア』。彼は、しかし己の息子の死で、世界を激しく憎む。その後、強大な悪魔『七君主』と契約し、七君主に身体を明け渡した。
 ダグラスの身体を乗っ取った七君主は、彼の願いを実行するため、悪魔の文明力を駆使し、己の手足となる『分身』をたくさん、作り出した。
 『カイオス・レリュード』――彼は、その『分身』の一人だった。


■ ゼルリアの将軍+海賊編

 ある予感をもって港を訪れた、ゼルリアの将軍達。
 そこで再開した『ゼルリア国王義弟』ロイドとともに、闇の石版について思いをめぐらせる。
 個室に集ったロイド、アルフェリア、ベアトリクス、そして副船長は、昼間の襲撃から、闇の石版が近くにあること、そして、石版を一箇所に集めるメリットはいくつもないこと、さらには、石版がいくつかそろっていると思われるにもかかわらず、なぜか、『下級』の――人間に撃退可能な程度の魔族の襲撃が、行われただけだということなどから、その背後に『とんでもない存在』がいるのではないか…――ということに、思い至る。
 『とんでもない存在』――、たとえば、七君主、と。


■ カオラナ王女とレイザ編

 石版と、それにかかわるすべての陰謀を知り、あざ笑うかのような言動を見せるカオラナ王女。
 それに沈黙して、付き従うレイザ。
 そして、王女は行動を起こすべく、立ち上がった。
 「私とは『別の』七君主のところへ…――。」
 七君主。
 それは、かつて、一度目に石版が砕け散ってしまった時、七つの石版それぞれに取り付いた、強大な負の意思を持つ大魔族の総称だった。

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