連れ去られた姫に心を残しながらも、ルーラ国王都を出発したティナは、アルフェリアらから、堕天使の聖堂にまつわる悲劇を小耳にはさむ。
堕天使の聖堂へと入るための『印』は、幼い子供の命を犠牲にしたものだった。
年に一度捧げられる生贄。
だが、ただ一人そこから戻ってきた人間がいるという。
『レイザ・ミラドーナ』。
ミルガウスの宮廷魔道士。
両親と双子の弟とともに聖地に赴いた彼女は、ひとり無傷で生還した。そのとき、それまでは黒かった彼女の髪は、真紅に染まっていたという…。
一方で、ミルガウス南方守護府からの印を持つカイオス・レリュードの前に、七君主の使いである、意思在るダグラスが現れる。
彼に導かれて赴いたのは、砂漠の国シェーレン…。
そこには、七君主の姿があった。
さらわれたルーラの姫を追い、一人離れて行動する副船長。
交差する記憶の果てに、彼は無事に姫を救い出す。
王子の生存に望みを託す姫に、ローブの青年は残酷に切り出した。
その男は死んだ、と。
悲しみにくれる王女に、だが、彼は黙って胸を貸す…。
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