Lost Words
    神は始め、天地を創造された。「光あれ。」――こうして、光があった。
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  第五章のあらすじ 
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 自分を貫こうとした、意思を奪われたカイオス・レリュードの剣――。
 しかし、それを正に受けようとしたティナは、不可思議な光に包まれて、一転、石に囲まれた静かな空間にいた。
 呆然とする彼女に、上空から声がかかる。
 『僕はカイオス・レリュード。十年前に死んだ、ダグラス・セントア・ブルグレアの息子だ』と。
 そこにいたのは、半透明に透ける、十歳ほどのアクアヴェイル人の容姿をした少年だった。
 呆然とするティナに、彼はさらに語りかける。
 自分は、ティナたちが『カイオス』と呼ぶ青年の中に、存在しているのだ、と。
 そこで、彼の真意を知りながら、ずっと共存してきたのだと。
 ならば、今は意思を奪われた『カイオス』の真意を知りたいと、問いかけるティナに、少年は、あくまでも彼とて『人間』に過ぎないのだということだけを示唆し、穏やかに行くべき道を指し示した。
 そのとき、彼女たちの元に幾人も意思なきダグラスが送り込まれ、戦闘が始まっていく。

 同じ頃、一旦は生け捕りにされたものの、牢を抜け出した、アルフェリアとクルス。そして、光の転移魔法でティナが消えた後、その後を追うように地下墓地を目指していた、アベルと副船長の元にも、大量のダグラスたちが送られていた。

 なだれを打って踊りかかるダグラスたちに、押し出されるように、ティナは地下墓地を駆け抜けていく。
 やがて、開けた眼前の景色に、彼女は思わず目を見開いていた。
 堕天使の聖堂で、そしてここに至るまでの道中で。
 繰り返し見た、『夢』の景色。
 剣を打ち合う、自分とカイオス・レリュード。
 そして、その果てに――。

 その『夢』の光景をなぞるように、『現実』は展開されていく。
 意思のないカイオス・レリュードの剣を受けることで、手一杯のティナに、七君主の魔法が放たれた。
 しかし、もともとあった腹部の傷を庇ったカイオスが、一瞬の動作の誤差を起こして、その軌道上に入り込んでしまう。
 彼女の脳裏には、そのまま、七君主の攻撃を心臓に受け、絶命するカイオス・レリュードの『未来』が、はっきりと映し出された。
 だめだ、と叫ぶ彼女の身体が、無意識に動いていく。
 『変えることのできない』はずの、『夢の現実』を変えるために。
 ティナの身体は、七君主の魔法を受けるべく、青年を庇うように躍り出ていた…。

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